【パリ】原田マハ・楽園のカンヴァス モンマルトルを巡る物語
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作者: 原田マハ
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出版社/メーカー: 新潮社
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発売日: 2014/06/27
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メディア: 文庫
パリ訪問の直前に読んだ本が、原田マハさんの「楽園のカンヴァス」。
出張のために読んだのではなく、泊まったホテルのライブラリーにありただ偶然手に取っただけなのだが、夢中になってしまい結局一晩で読みきった。
晩年に脚光を浴び、ピカソなど後進の作家に大きな影響を与えたというアンリ・ルソーの生涯と、その絵の処遇を巡り現代のミステリーまでつながって行く壮大なストーリー。
恥ずかしながら僕はこの本を読むまでアンリ・ルソーのことは全く知らなかった
本の表紙に描かれているのがルソーの代表作「楽園」なのだが、見ての通り濃い配色で、強い印象の絵。
見てみても魅力はよくわからなかったのだが、物語に引き込まれ、彼が想いを込めた絵を見てみたいと思った。
調べると、パリではオルセー美術館にアンリ・ルソーの絵が所蔵されていることがわかった。
いい機会なのでオルセーに足を運んだ。
感想は、よくわからない‥。力強い絵だけれど、ものすごく惹かれるとかではない。ただ不思議な魅力を感じる絵ではあった。
オルセー美術館の中でも奥の方、タワー館というところにある。ぐるっと一周しても場所がわからなかったのでインフォメーションで尋ねるとすぐに教えてくれた。
オルセー美術館には俗にいう”有名な絵”が多く、訪問者の満足感が高い。
そんな中でルソーの絵は若干ひっそりとしている印象だったのだが、小説を読んだからだろうか、なんとなく長く立ち止まってしまった。
今はまだ鑑賞しきる力がないのかもしれない。また時期を見て改めてこの絵に会いにいこうと決めた。
ピカソが主催した「アンリ・ルソーの夜会」
物語の中でも、美術の歴史的にも重要な日だったと言われる「ルソーの夜会」。
世間に埋もれていたルソーの才能を見出し、パリの美術界の面々に広めたのはルソーよりも遥か歳下だったパブロ・ピカソと言われている。そのルソーの才能のお披露目イベントが、パリ北部のモンマルトルにある”アトリエ洗濯船”で行われた夜会という名の盛大なパーティーだった。
滞在中時間があったので、オルセー美術館でルソーの絵を見た翌日の朝モンマルトルにも足を運んだ。
モンマルトルの丘を登る途中の中腹あたりに、アトリエ洗濯船跡がある。オリジナルは焼失してしまったのだが、その歴史を偲ぶwindowが用意されている。
モンマルトル美術館が運営している。
当時の様子を影絵のパネルで見ることができる。ハイライトシーンだった「ルソーの夜会」もある。
この夜会の出席者はそうそうたるメンバーだった。そしてここで新しい芸術の芽が育まれていったことは容易に感じ取ることができる。
原田マハさんの「楽園のカンヴァス」のなかでもその様子は鮮明に描かれている。
パリ・モンマルトル。
この丘の街に来ると、芸術家が集い、新しいムーブメントを生み出していった時代の息吹を今でも感じることができる。
ルノワールが描いた、生き生きとしたモンマルトルの風景。
中心のテルトル広場に集う人々の表情が、本当に生き生きとしている。
(この絵もオルセー美術館に展示されていた)
現代のテルトル広場。朝だったので人はまだまばら。
芸術家たちも見たであろう景色。僕はこの丘から見るパリが一番好きだ。