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【ヨーロッパ】聖杯伝説3・ローズライン 世界の中心

ダヴィンチ・コードを再読してパリに降り立ったのがほんのひと月前とは思えないくらい、世界の様相は一変してしまった。
”stayhome”を合言葉に皆自宅とその近辺での生活を余儀なくされ、自由に出回る事ができた時期を懐かしく思い始めている人も多いのではないか。
オンライン〇〇が流行し、外に出られない鬱憤をいっとき晴らす事ができても快晴にはならない心の空模様。やがて人は気づきだす、ああ、やっぱり会わなきゃダメだよね、と。
なんでもかんでも画面で見られて手に入ったような気になっているけれど、スクリーン越しのデータ容量は5Gでもたかだか数十GB程度で、現地で感じる体験に及ぶことはない。今までも、これからも。
建築を教える友人が、学生にこんなことを言われたと嘆いていた。

先生「その建築を学ぶために、ちゃんと見に行ったのか?」

生徒「はい!google street viewで見ました」

先生「…」

建築などは現地を知る事が最も大事。
僕も不動産をいくつか所有しているが、現地に行かないと周辺環境や土地の状態、例えをあげるなら日当たりや臭い(これは結構重要。水の流れがあったり、滞っているような場所は現地に行くと悪臭がするのでわかる)人や風の流れなどデータとして現れない情報がないと正確な投資判断はできない。
(データだけで大儲けしている猛者も少数いますけど)
そういえば「足を運ばない投資家には物件を売らない!」と豪語する不動産屋さんもいたな。

パリが世界の中心だったころ

足を運ぶ事、体験することの価値がこのコロナウィルス騒動で見直されることになるだろう。
本を読み、wedサイトで情報を集めたところでその地で感じた感動には敵わない。
だからみな高いチケット代を払ってでも現地へ行く。
実感したのはパリの左岸、カルチェラタンのサンシュルピス教会。

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パリ サン=シュルピス教会

場所はこの辺。オデオンやサンジェルマンデプレの駅から歩ける。


ダヴィンチ・コードの中でも重要なシーンだったこの教会。
本で読んだ想像とは違いものすごく大きな教会だった。

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パリ サン=シュルピス教会

もうコロナウィルスの影響が叫ばれ始めている頃だった。座席はひと席離して座ってくださいという張り紙が置いてあった。

世界の中心

現在世界標準時GMTグリニッジ標準時)と呼ばれる。緯度経度のすべての基準になっているのは英国のグリニッジで、そこを±0時として時差を設定している。

gakusyu.shizuoka-c.ed.jpけれどこれは当然後付けの結果であって、世界の標準時が英国でなかった時代も存在する。
この教会が出来た当時、まさに世界の中心はパリだった。
ダヴィンチコードでは、その可能性に触れ、その証拠を探しにこの教会に来るシーンがある。
そこで主人公のラングドンが見つけるのがこの線だ。

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パリ ローズライン

教会の祭壇の前を、斜めに貫く不自然に伸びた大理石の線。
この線は正確に南北を指し示している。コンパスを向け針が違わず真北を指した時は思わず鳥肌がたった。

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パリ ローズライン

伸びた線は教会内のこのオリベスクにつながっている。
ローズライン(rose line)とは南北を貫く基準となる子午線という意味だが、
コンパスの針のことをコンパスローズと呼ぶことにも同じ意味がある。
ではなぜ南北の基準線に薔薇(rose)という意味が使われているかが、この聖杯伝説にまつわる秘められた世界の謎だ。

謎や情報は書面からの読み取れる。けれどそれでは十分ではない。
現地に行かねば読み取れることの方がこの世界には遥かに多い。

(次回に続く)