下北沢路地裏エアポート

Shimokitazawa Backstreet Airport

【旅行】スクリーン ニューディールとマイクロツーリズム

ニューヨークでは「Screen New Deal」という言葉が流行し始めているらしい。

www.wnycstudios.orgアメリカでかつて行われた「ニューディール政策」は、公共事業を推し進めることで経済を回復させる大掛かりな手法。
功を奏したのもあってか、ことあるたびに「ニューディール」という言葉が使用され昨今では地球温暖化に対した「グリーン ニューディール」なんていう施策が話題を呼んでいた時期もあった。

スクリーンニューディールとは

コロナ禍で在宅勤務や、オンラインでのエンターテイメントが見直され始めている。
実際僕もその恩恵を受けているが、本当に便利で色々できる。
だから教育や医療診察やジムでの運動(この記事では講師付きのスタジオレッスンのようなものを指すと思われる)も、オンラインでやろうよ。
そのための投資を進めようというのが、スクリーンニューディールと呼ばれはじめている。

そんなんでいいわけない

わからんでもないが‥アメリカはこういう思いつきに対していつも極端に反応する。
教育は全部スクリーン上でいい!なんて息巻いているが、そんなんで良いわけがない。
若手独立数学者の森田真生さんがツイッターでこんな表現をされていた。


「教室」で「人間」の話だけを聞くという特殊な環境という表現が秀逸なのだが、人は人間以外の自然、例えるなら植物や動物、昆虫や風や水や土などからも、五感をフル活用して学んでいるものがあると思う。
感覚は人間以外のさまざまな物から鍛えられ そこで培った”触覚”が世界を探求していくためのセンサーになりエネルギーになると思うのだが、スクリーン越しの教育は決定的にその感覚が欠落したままの学びになってしまう。

豊かな感覚が生身の体験からしか得られないのはおそらく全員がわかっている。
教育に際しても、体験を伴う知識と紙面上の知識では定着度が全く違う。
それを差っ引いた上でどうスクリーンと、そして新しい生活と向き合うかがこれからのポイントになるのだと思う。

近所の魅力を体験する マイクロツーリズム

観光業界はコロナ禍で影響をもっとも受けている業界のひとつだが、
代表格でもある星野リゾートの星野社長の発信していたご意見は参考に値すると感じた。
それがマイクロツーリズムという考え方。

www.tv-tokyo.co.jp今までのような大規模な移動や旅行は無理でも、感染拡大懸念のない近場の魅力を発見する旅に出ようという提案。
今まで見落としていたような近所にも面白いところがたくさんあり、それを見つけることで場所の移動は小さくても”旅”になるという推進だ。
なにより地元とそこに住む人々が活性化するのがマイクロツーリズムのポイントであり、ひいてはそれにより観光産業がもう一段タフになることが期待できる。
なにも体験は遠くに行かないとできないものではない。近場でもそこ行かなければ得られないような価値があれば、それは体験として貴重な意味を持ってくる。

全日本小物釣り代表 mamamaさんの「マイクロアドベンチャす」

そこで最後にご紹介したいのはこの動画。
じわじわとファンを増やしているクリエイターのmamamaさん。
マイクロアドベンチャす」というyoutubeチャンネルを運営中。
どんな動画かというと、近所のなんでもないような川や池にスクーターを走らせていって、そこで適当に竿と糸を垂らしなにかを釣る、という癒し系の釣りチャンネル。


その辺の川で魚釣り 玉ウキ

のんびりした音楽とテンポのいい映像で飽きずに見てしまう。
専門的な知識や技術のいる釣りをしている訳ではないし、池や用水路などどこにでもあるような場所で釣れるので、とても身近に感じられる仕上がりになっている。
また昨年夏の動画でロブスターレストランの広告を見て食べたくなったが、ロブスターを買うお金はないので似た様な味のザリガニを釣って自分で茹でて食べる動画も最高だった。

自分にもできそうな気がしてきて、僕も最近釣具屋で竿を買った。
道具代はしめて¥1,200。スクリーンニューディールで大規模な投資をして新型タブレットを買わなくても、たった¥1,000ちょっとで作れる日常の冒険の方が得るものが大きい。

zoomで打ち合わせしても目が疲れるし、画面越しの会話にも飽きてきた。
スクリーンニューディールが日本に広がりだしても、僕は体験を重視するマイクロツーリズムから始めたいと思う。