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【ヨーロッパ】聖杯伝説1・アントワープ

隠された真実と伝説

この情勢をうけ業務変更や予定外の余暇も増えてきた。僕も4月半ばに少し長めの休暇を取り帰省など移動計画をしていたのだけど、渡航が多かった自分が新たな地に行くのも躊躇われるため自宅で過ごす事に。
そんなときこそ、ではないが今までできなかったいろいろな事が捗る。
同僚からは「家の中ひとまわり掃除して2周目に入った」や「ニンテンドーswitch買ったので通信でゲームしよう」などと言う誘いが届く。
おそらくみなさん同じような感じだと思うのだが、この期間を利用してかねてからやろうと思っていたことを進める。
それがタイトルにもした聖杯伝説の研究。

探求のきっかけ

ダヴィンチ・コードという作品はご存知の方も多いと思う。10年ほど前に一世風靡し様々な憶測や流行を呼んだ作品だ。
ざっくり言えばキリスト教にまつわる様々な謎を、画家のレオナルド・ダ・ヴィンチが残した作品を手がかりに現代の象徴学者がトラブルを乗り越え真実に迫るというストーリー。

この作品は内容や謎も興味深いのだが、もっとも面白いのは劇中に描かれている事柄が現代にもその痕跡を残していて、実際に足を運ぶとそれに触れられる事だと思う。
10年ほど前読んだ時には、面白かったなあとは思ったが内容は全く記憶に残らなかった。
当時はそれを受け取る器がなかったのだが、今頻繁にヨーロッパに行くようになりそのメッセージが全く違うものに見える。具体的には数百年前から残されている建物、教会や絵画・壁画などに触れた時の好奇心の広がり方が全く以前とは違う。
作品のネタバレにもなるので詳しい内容は控えるが、伝説として語り継がれる”聖杯”にまつわるストーリーがメインシナリオとなっていて、今では聖杯のありかに夢中な”聖杯研究家”への一歩を、僕も踏み出していると言えなくもない。
(探検家や冒険家という響きに憧れがあり、インディ・ジョーンズの魅力を語り新卒時の入社試験を突破した事がある‥どうかご容赦願いたい)

アントワープ聖母大聖堂 ルーベンス

すべてのきっかけになる出来事は今年の2月に訪れたベルギー・アントワープだった。

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アントワープ (聖母大聖堂改装中)

フランダースの犬」の舞台としても有名な聖母大聖堂。
場所はこの辺り。ベルギーの首都ブリュッセルからは電車で30分くらい。アントワープの駅から中心部まではかなり歩く事になるので、バスかタクシーを使った方が楽かもしれない。

この聖堂にある宗教画家 ルーベンスの書いた絵画の前で、主人公のネロとパトラッシュは息絶え天に召される。
感涙を呼んだシーンで多くの日本人が覚えているだろうアニメだが、実は現地ベルギーのフランドル地方ではそんな有名では無いらしい。
この教会の前で涙しているのは日本人ばかりで、なぜ泣いているのかわからず不思議がっている現地の人々、という光景が頻繁にあったらしい。

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アントワープ ネロとパトラッシュ

そのような事情を受けて出来たモニュメント。なのだが‥パトラッシュの犬種が日本人お馴染みの犬種ではなく、あきらかに鼻の長いグレイハウンドのようなタイプ。ネロも可愛らしい幼児のようで、なんだかなあと思ってしまう。

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アントワープ ルーベンス

そしてこの絵がルーベンスの絵。ネロが見たいと願ったベルギーの至宝。聖堂の奥に飾られている。大判でものすごい迫力がある。
教会の中には対になった2枚のルーベンスの絵があり、それぞれキリスト昇架、キリスト降架のシーンが描かれている。写真を掲載したのはキリストが十字架から降ろされる降架の方だと思われる。

世界の秘密 聖杯伝説

この絵が僕の好奇心を一気に加速させる事になった。実はアントワープを訪れるのは2度目でこの聖母大聖堂にも来た事はあった。だがこの時は夫婦でベルギーに旅行に来ていた友人と合流し、日本語ができるガイドさんを伴っていたため絵の解説を詳しく聞く事ができた。
中央の絵の下方、真ん中あたりにいる深緑色の服を着た女性の名を聞いた時だった。

「彼女は”マグダラのマリア”と言われています。
キリスト教の聖人ですが、娼婦と言われていたり、イエスの妻だったと言われていたり、背景がわからない様々な謎がある人物です」
という説明だった。
そしてこう付け加えられた。

マグダラのマリアダヴィンチ・コードという作品のなかで扱われ有名になりましたね」


‥昔読んだな‥
けど全く覚えてない。
マグダラのマリアの名前だけ聞き覚えがあるのはダヴィンチ・コードを読んだからか。
とこの時は思った。このちいさなきっかけが途方もない冒険に繋がる事になった。
(長くなるので次回につなげます)